ウルトラバイオレット マン
原名:Ultraviolet Man
種類:オード・トワレ
ブランド:パコ・ラバンヌ
調香師:ジャック・キャヴァリエ
発表年:2001年
対象性別:男性
価格:日本未発売
『ブレードランナー』の夜の世界の香り
ディオールで8年間、靴からハンドバッグをデザインしてきた一人の青年パコ・ラバンヌ(1934-2023)が、「新しい素材で武装した戦い」を起こすんだ!と、1966年に自身のメゾン、パコ・ラバンヌを設立し、金属、紙、プラスチックなどを使用した前衛的な「縫うを否定したデザイン」である〝着ることのできない12着のドレス〟を発表しました。
そして、すぐに1968年にプーチ社と契約し、1969年に最初のフレグランス「カランドル」を発表しました。その30周年として世紀末の1999年に発売されたのが「ウルトラヴァイオレット」でした。
そのメンズ・ヴァージョンとして2001年に発売されたのが「ウルトラバイオレット マン」です。同じくジャック・キャヴァリエにより調香されました。
2001年の恋のカタチ。デジタルな甘い一晩限りの出会いを身に纏う。
〝銀河の果てからやって来た、スミレと金木犀〟が、ミルキーなウッドとアンバー、バニラと溶け込む〝新次元の香りのデジタル体験〟=電子の洪水の中で踊り狂う21世紀のナイトクラブのような「ウルトラヴァイオレット」。
世紀末に生み出されたウィメンズ用のそのオリジナル版との共通点を、アンバーとバニラで残しつつ、2001年に誕生したこのメンズ・ヴァージョンは、ミントとコリアンダーが織り成す、ラムを注ぐ前のモヒートのようなジンの香りが、爽やかにスプラッシュするようにしてはじまります。
このフレッシュグリーンなミントは、まるで自然のものを摘み取ったばかりのような、歯磨き粉ではない香りがします。そして、ミントは最後までバニラの甘さと見事なクリーム・デ・メントのような調和を見せてくれます。
すぐにジンはドライになり、週末の都会の夜のはじまりを告げるように、甘やかなアンバーグリスとスモーキーなブラックペッパーと(タバコのような)ベチバーが、冷たくも熱くロマンティックに広がってゆきます。まるでナイトクラブのスモーキーでメタリックなムードに包み込まれてゆくようです。
ここで全身は『ブレードランナー』の世界にタイムワープします。そして、甘い一晩限りの出会いを思わせるムスキーなバニラとオークモス、トンカビーンによる、うっとりするようなウッディとスパイスの間を漂う甘さに満たされてゆきます。
一晩限りという点がポイントです。つまりは〝甘ったるさ〟ではなく〝すっきり甘い〟香り。携帯電話(スマホではなく)や出会い系サイトで増えていく『2001年の出会いのカタチ』を香りにしているようです。
〝21世紀の誘惑の新兵器〟とブランドがアピールしているボトルデザインはSF銃をイメージしたものでした。女性にもとても相性の良い〝甘い誘惑〟を生み出してくれるユニセックス・フレグランスです。
タニア・サンチェスは『世界香水ガイド』で、「グリーン調のバイオレットリーフと砂糖の香り・・・どういうこと?ボトルは大型ホッチキスをまねしたみたいな形だ。」と1つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:ウルトラバイオレット マン
原名:Ultraviolet Man
種類:オード・トワレ
ブランド:パコ・ラバンヌ
調香師:ジャック・キャヴァリエ
発表年:2001年
対象性別:男性
価格:日本未発売
トップノート:イタリアンミント、コリアンダー
ミドルノート:べチバー、ブラックペッパー、アンバーグリス
ラストノート:オークモス、バニラ