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パルル モア ドゥ パルファム

【パルル モア ドゥ パルファム】トータリー ホワイト(ミシェル・アルメラック)

パルル モア ドゥ パルファム
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トータリー ホワイト

原名:Totally White 126
種類:オード・パルファム
ブランド:パルル モア ドゥ パルファム
調香師:ミシェル・アルメラック
発表年:2016年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/15,400円、100ml/25,300円
販売代理店:ラトリエデパルファム

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妻エリザベスへ愛をこめたスランガの香り

モンソー公園、クロード・モネ、1876年。

モンソー公園

「トータリー ホワイト」は父(ミシェル)が300回以上試作していて、ある日、何も生み出すことは出来ないことに気づき、またいちからやり直した作品です。

父の哲学は、香水を作っていて駄目だと感じた場合、複雑にならないように、失敗を受け入れ、また一からやり直すということです。常に継続するのではなく、一歩下がってよく考え、またやり直すのです。

それから126回の試作の末に生み出されたのがこの香りということになります。

ベンジャミン・アルメラック

2016年に創業されたパルル モア ドゥ パルファムから最初に発表された8つの香りのうちのひとつ「トータリー ホワイト」は、ブランドの意向や市場に関係なく、本当に自分が生み出したい香りを心ゆくまで追い求める環境を手にした巨匠ミシェル・アルメラックにより調香されました。

〝Totally White 126〟。ちなみに、最後についている数字は、試作回数を示しているのですが、この香りの試作回数はなんと126回ということになります。2022年現在、同ブランドから発売されている香りの中で、もっとも試作回数が多い香りです。

ミシェルの妻エリザベス・アルメラックのリクエストで生み出された香りです。彼女のノルマンディーの少女時代の思い出、それは祖父母の家の庭にたくさん咲いていた白いスランガ(和名 バイカウツギ)の花々を再現しようとした、軽やかで陽気な自然の美しさを捉えた香りなのです。

私は38年前にグラースからパリに移ってきました。そして、今はモンソー公園の近くに住んでいます。公園には幻想的なほど美しい庭園が存在します。私はここを歩くのが大好きで、ベンチに座って本を読んだり、歩きながらいろいろな花の香りに親しんだりします。

でも、何よりも好きなのは、庭師を見ることなのです。公園は広いので、いつも何かが行われているからです。私が最初に連想する香りは、刈りたての草の香りに、少しフルーティな香りを加えたものです。百合や薔薇の香りもあり、この混ざり合った香りは、私にとって心の中にある秘密の花園なのです。そして、私にとってのパリそのものなのです。

ミシェル・アルメラック

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バラの存在しないホワイトフローラルの香りの演奏会

モンソー公園、クロード・モネ、1876年。

それぞれの花々の香りはとても近いものであることを知らなければなりません。たった1つか2つの成分を変えるだけで、ローズからスズランに香りを変えることができるのです。

たとえばローズにヒドロキシシトロネラールと酢酸ベンジルを加えたらスズランになります。スズランからフェネチルアルコールとヒドロキシシトロネラールを取り除くとジャスミンになるんです。

このようにして、スズランとライラック、ピオニーと同じように、香料を抽出できないスランガ(和名 バイカウツギ)の香りを再現するために10年以上の試行錯誤を繰り返しました。

ミシェル・アルメラック

パリのモンソー公園クロード・モネも愛した18世紀に建造された公園)で迎えるある春の朝をイメージしたこの香りは、花の香りの前に、淡い陽光に全身が包み込まれるような心地良さからはじまります。

そんなホワイトムスクの風に乗り、詩情あふれるスランガ(和名 バイカウツギ)とライラックの青々しい甘やかさが優しく広がってゆくのです。花々の朝露が太陽の光によって、一斉に虹色の煌きを放ちながら蒸発すると同時に、残されていくはかない甘やかな香りのようでもあります。

すぐにうっとりするような白い花々の前に、キリっとしたスズランが到来し、肌の上に香りは着地してゆくのです。そして、軽やかに風に乗る花びらの蜜のようなウィステリアとビターなサンザシが加わり、最後に、粛々と華やかなるジャスミンが花を咲かせてゆくのです。

まるでそれぞれの花々が生命を取り戻したように、肌の上に広がる『パリの朝の光に包まれた花々』は、モネが描くお花畑のように、幼き日々の自然に対する無邪気な心を蘇らせてくれるのです。

ライラックのみずみずしさとスズランのフレッシュグリーンが、スランガの甘やかさとうまく溶け合い、ウィステリアとジャスミンによってホワイトフローラルブーケならぬナチュラルフローラルブーケが生み出されてゆくのです。

〝バラの存在しないホワイトフローラルの香りの演奏会〟へようこそ。誰よりもローズを愛し続けてきた男が、ふとローズから離れて、その他の白い花々の前で、思い切り深呼吸するような香りです。心を揺り動かす花々の力強さではなく、花々が与えてくれる自然の心地よさに包まれていく香りです。

フレデリック・マルの「アン パッサン」と比較したくなる香りです。

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香水データ

香水名:トータリー ホワイト
原名:Totally White 126
種類:オード・パルファム
ブランド:パルル モア ドゥ パルファム
調香師:ミシェル・アルメラック
発表年:2016年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/15,400円、100ml/25,300円
販売代理店:ラトリエデパルファム


シングルノート:ライラック、スズラン、バイカウツギ、ジャスミン、ウィステリア(藤)