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その他の男優たち

『アメリカン・ジゴロ』Vol.4|映画がメンズ・ファッションの流行を作る時代のはじまり

その他の男優たち
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ハイブランドに身を固め、心まで乗っ取られていく……

まずその服装がダメだ。でも、服は変えることが出来てもその顔は変えられない。その顔は、悪すぎる。それに、背中に問題があるのか?見た目がサルだぞ?その曲がった背筋をぴんとしな!さらに顎が弛みきってるぜ!エクササイズをして顎の弛みをなくそうぜ!

ジュリアンがサンデイ刑事にアドバイスするシーンの台詞

どれだけ魅力的なルックスを持っていようとも、ハイセンスなファッションに身を包んでいようとも、それを着る人間が慢心していると、そのファッションが高級な素材で作られていればいるほど、その人間の中身の浅ましさが透過して見えてくるものです。

本作は、ハイブランドに身を固め、心まで乗っ取られている男の浅ましさを伝えてくれています。

ナルキッソスは、自分の姿にみとれて水に溺れるのです。ハイファッションに身を固める自分に夢中になりすぎている人ほど、はたから見ていて滑稽なものはありません。まさにこの台詞のシーンは、ジゴロとして他人のお金でアルマーニに身を固めているに過ぎないジュリアンの慢心が招く没落を予兆させるシーンなのです。

しかし、この作品のすごいところは、そんなことは百も承知でありながら、アルマーニを着たリチャード・ギアの魅力への憧れを抱かせる〝アルマーニの魔性〟が映像の中を自由奔放に駆け抜けているところにあるのです。

リチャード・ギアとアリマーニの組み合わせは無敵すぎます。撮影:アニー・リーボヴィッツ

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ジュリアン・ケイのファッション13

アルパカ/モヘア・ダブルジャケット
  • キャメルのダブル・ジャケット、スリム・ピークドラペル、4×1ボタン、ノーベント、アルパカとモヘアの混紡
  • ブラウンストライプの白シャツ、ナロー・ポイント・カラー
  • ゴールドタイ、マイクロドット
  • ブラウンのトラウザー
  • ブラウンの細身のレザーベルト
  • ROOTSのダークブラウンのレザーのカップトゥ・オックスフォード
  • カルティエのタンク・アメリカン

ビバリー・ウィルシャー・ビバリーヒルズを歩くジュリアン。10年後『プリティ・ウーマン』で再び歩くことになる。

アルパカとモヘアが混紡されたかなり贅沢なダブルジャケット。

ヘクター・エリゾンドは『プリティ・ウーマン』でこのホテルの支配人になる。

ヘクターと言えば『サブウェイ・パニック』(1974)のMr.グレイ。

同じジャケットを着てるスチル写真。

開けたシャツから鍛え上げられた肉体が露わになる『an・an』風ショット。

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ジュリアン・ケイのファッション14

ダークトーンシャツ
  • バジーレのリネンの濃い茄子色のシャツ、両胸にフラップポケット
  • 茶色の細身のレザーベルト
  • ベージュのトラウザー
  • ROOTSのキャメル色のスエードシューズ
  • カルティエのタンク・アメリカン

男性にとって、ダークカラーシャツが生み出す魔力を生かさない手はありません。

タイムレスなアンサンブル。〝黒く塗れ!〟

「いつまでも同じところではいられないんだ」と上を目指すジュリアン。

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ジュリアン・ケイのファッション15

はだけたリネンシャツ
  • チャコールグレーのリネンシャツ、左胸にのみフラップポケット
  • グレーのトラウザー

特徴のある襟元の2つのボタン。

襟元の2つのボタンがよく分かる写真。

ディオールオムのシャツのような短い襟。

上質な生地をはだけたときに生まれる崩しの美学。

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ジュリアン・ケイのファッション16

ブルーシャツ
  • バジーレのライトグレーのダブルのシルクジャケット、パッチポケット、ベントレス、少しワイドなノッチラペル(ルック2と同じ)
  • 水色のリネンシャツ、ショートポイントカラー、両胸にフラップポケット
  • グレーと白のストライプ・タイ
  • 黒の細身のレザーベルト
  • ベージュのトラウザー
  • ROOTSのライトグレーのレザーシューズ

ライトグレーとライトブルーの絶妙なアンサンブル。

ダブル・ジャケットでありながら堅苦しくない。ちなみにこのジャケットはアルマーニではない。

リチャード・ギアとローレン・ハットン

すごく魅力的なショット。大人の女が夢中になる若い男像を一枚の写真で示してくれています。

映画の中では、トラウザーは違うもので合わせています。

ボタンを閉めるとパリッと決まります。

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ジュリアン・ケイのファッション17

ネイビーカーディガン
  • ネイビーのショールカラーのカーディガン、リブ編み
  • 水色のピンストライプシャツ、右胸にポケット、ショートポイントカラー
  • ブラウンのネクタイ
  • 褐色の細身のレザーベルト
  • 土色のハイウエストパンツ
  • ROOTSの黒のチェルシーブーツ

ファッションは、その時代のライフスタイルに合ったもの。現代のように女性が男性と肩を並べて働く時代には、オフィスや街で着られる服が基本です。デザイナーの自己満足でしかない奇をてらった服は、ナンセンス。年2回新しいコレクションを発表するからといって、半年前の自分の創作を否定するようなことはしたくないですね。

ジョルジオ・アルマーニ 『世界のスターデザイナー43』 堀江瑠璃子

一見するとカーディガンに見えるジュリアンのアンコンジャケット。

トラウザーとレザーシューズのカラーバランスも絶妙です。

作品データ

作品名:アメリカン・ジゴロ American Gigolo (1980)
監督:ポール・シュレイダー
衣装:ジョルジオ・アルマーニ
出演者:リチャード・ギア/ローレン・ハットン/ニーナ・ヴァン・パラント