オーハ
原名:Oha
種類:オード・パルファム
ブランド:テオ・カバネル
調香師:ジャン=フランソワ・ラティ
発表年:2005年
対象性別:女性
価格:日本未発売
ウィンザー公爵夫人が愛したブランド
テオ・カバネルというニッチ・フレグランス・ブランドは、元々は1893年にアルジェリアのブファリックで、フランス人の医者兼科学者のセオドア・カバネルにより、オレンジのコロン専門店として創業されました。
現地のフランス人にとても好評だったため、セオドアは、1908年にパリにお店を移転し、のちにウィンザー公爵夫人(1896-1986)のお気に入りの調香師となりました。そして、彼の娘も調香師になるのですが、お店は、上流階級の一部の顧客のプライベート店として細々と経営されていました。
そんな彼女が2000年に92歳で死去した時、彼女には子供がなく、実の子のように可愛がっていた女性の娘であるキャロライン・イラクア(1981-)が2003年にお店を引き継ぐことになります。
キャロラインは、調香に対する特別な教育を受けていなかったのですが、本当の孫のように可愛がられ、子供の頃から、お店で手伝いをしていたので、香料に慣れ親しんでいました。
彼女は愛する叔母さんのお店を失くしたくなかったので、継承された150ものフォーミュラがまだ香水製造に使えるのかどうかを知るためにグラースのモニーク・レミーに会うことにしました。
全てはこの出会いからはじまりました。モニークはそのフォーミュラを見て、とても感動したのでした。そして、キャロラインに、イヴ・サンローランの「ジャズ」などを調香したジャン=フランソワ・ラティを紹介してくれたのでした。この頃、ラティは、低品質な香りを調香する日々にうんざりし、引退していました。
そんな彼が、約90%もの天然香料を使用し、香料に対する制約なしに香りを作れるという夢のような環境に二つ返事で専属調香師として協力することになったのでした。
こうして、2005年に最初に生み出された二つの香りのうちのひとつが「オーハ」でした。全ての天然香料は世界でも有数の天然香料のサプライヤーであるラボラトリー・モニーク・レミーのものを使用しています。
1970年代のフランスを連想させるローズの香り
ベルガモットとティーが混ざり合い、クラシカルなブルガリアンローズとモロッコ産ローズに降りかかる、キラキラと煌くようなフルーティーなティーローズの香りからこの香りははじまります。
すぐに、モッシーなパチョリがこの香りを〝明るいフローラルシプレ〟へと導いていきます。やがて、エジプト産のジャスミンがグリーンを強く発しながら、グアテマラ産カルダモンのスパイシーさと見事な調和をティーローズに与えていきます。
だんだんと香りは、1970年代のヨーロッパ映画の世界にタイムスリップしていきます。〝明るい官能〟いいえ、そうではありません。生温い風のような、欲望を誘う風に薔薇の香りが乗っているとでもいうのでしょうか?それとも、10代の少年が、綺麗な叔母のコートに鼻をそっと近づけた香りなのでしょうか?
やがて、トンカビーンとアイリスのパウダリー・ヴェールにバニラとムスクが加わり、ローズは、優しくその美しい肢体の隅々までを身に纏わせてくれるのです。
日本では未発売ですが、100ml155ユーロ(約2万円)で販売されています。
香水データ
香水名:オーハ
原名:Oha
種類:オード・パルファム
ブランド:テオ・カバネル
調香師:ジャン=フランソワ・ラティ
発表年:2005年
対象性別:女性
価格:日本未発売
トップノート:ベルガモット、ティー
ミドルノート:ブルガリアン・ローズ、モロッコ産ローズ、ジャスミン、カルダモン
ラストノート:バニラ、トンカビーン、アイリス、パチョリ、ムスク