作品名:ベイビー・ドライバー Baby Driver(2017)
監督:エドガー・ライト
衣装:コートニー・ホフマン
出演者:アンセル・エルゴート/リリー・ジェームズ/ケヴィン・スペイシー/ジョン・ハム/エイザ・ゴンザレス/ジェイミー・フォックス/ジョン・バーンサル
これが若さなの!キラキラ輝いているダイナーユニフォーム・スタイル
主人公のベイビーを演じるアンセル・エルゴート(1994-)もとても魅力的なのですが、何よりもそのパートナーを務めるデボラ役のリリー・ジェームズ(1989-)がとても魅力的です。カーラ・トーマスの“B-A-B-Y”を歌いながら現れるシーンは、80年代のチアリーダーのようで、まるで天使みたいです。
それにしても50年代ダイナー・ユニフォームは最高です。そんなユニフォームに足元はフライのブラックレザーのコンバットシューズというのが、ムチムチのリリーの肉体にフィットしまくっていて、21世紀的健康美にもマッチしています(かなりの10代から20代の女子はマネしたくなるはず)。
ちなみに元々はこのデボラ役はエマ・ストーンの予定だったのですが、リリー・ジェームズが役柄にハマっていました。
ここでデボラがブーツを履いている意味は、彼女の人生はウエイトレスで終わるつもりがなく、いつでもそんな世界から抜け出すつもりでいるという意味なのです。
GAPのジージャンとフライのコンバットブーツ
デボラは全てのシーンにおいてただこのコンバットブーツだけを履いています。
それにしても、GAPのジージャンをビーシービージーマックスアズリアのノースリーブイエロードレスの上に着るセンスは、かなりアメリカ的です(ちなみに監督もリリーもイギリス人)。ブラックブーツにグレーのハイソックスのアンサンブルもかなり使えるスタイリングです(というかまさにこれから!)。
ボーイフレンド・タンカースジャケット
女性にとってのミリタリー・ファッションは、彼氏のワードローブを着ちゃいました感を出せる最強のボーイフレンド・ファッションなのです。
50年代愛を共有するカップル。
二人の愛の奇跡の謎が、最後に明らかになるのです。そうなのです、二人が、一目惚れに近い状況で愛し合うようになった理由は、50年代という時代に対する愛を共有しているところにあるのです。このカップルがとてもカッコよく、そして、微笑ましく見えるのは、2019年8月的に言えば、ストリート・ファッションで、タピオカ片手に、もう一方の手で携帯扇風機を持っているようなミーハーなカップルの、トレンドという名の、中身が空っぽな横並びの世界観を見せ付けられずに済むからなのです。
だから、デボラは最後の最後まで同じコンバットブーツを履き続けるのです。そして、お迎えの車は、’58 フォード エドセル ペーサーであり、ベイビーのファッションは、ジェームズ・ディーンやマーロン・ブランドのようなジーンズをロールアップした50年代風なのです。
これからの若者にとって、クールに見える生き方は、自分が愛する時代を見つけることなのでしょう。さぁ、タピオカを捨てて、携帯扇風機を捨てて、ストリート・ファッションを脱ぎ捨て、過去の映画を見て、過去の音楽を聴いて、自分探しの旅に出ましょう!