破天荒
聖地評価:三ツ星
日本から世界に向けて羽ばたいてゆく可能性に満ちたフレグランス・ブランドのポール・ポジションに立っているブランド、それが「破天荒」です。既に、インバウンドの間では、大いに話題になっているこのブランドのテーマは〝浮世絵〟です。江戸から明治・大正の日本の情念を感じさせる香りが、たくさん生み出されてゆきそうで「破天荒」から目が離せません。
かつて1950年代に、第二次世界大戦の敗戦国として荒廃していたローマに、ハリウッドスターをはじめとするアメリカの富裕層が押し寄せてきたことがあります。
『ローマの休日』『ベンハー』など数々の映画が、アメリカ国内で撮影するよりもローマで撮影する方が安上がりなこともありチネチッタで撮影されました。そしてスターたちは休日に、グッチやフェラガモ、ブルガリ、アクアディパルマのブティックを訪問し、彼らがアメリカに帰国したあと、それぞれのブランドがアメリカ人にとって憧れの的となりました。
現在の日本はちょうどその頃のローマと同じ状況にあると言えます。世界中の国の人々が、政治的に荒廃した日本に押し寄せ、ジャパン・ブランドを購入し帰国しています。
ちょうど、江戸時代末期から明治時代にかけて同じような状況が日本でも起こっていました。それは〝浮世絵〟です。日本では大して認められず、逆にヨーロッパから評価され、今では日本の至宝の芸術と言われるこの日本文化からインスパイアを受けた日本の新しいフレグランス・ブランド、それが2025年4月に誕生した「破天荒(HATENKO)」です。
「破天荒」の調香師の清水篤さんは、2008年1月に設立された株式会社キャライノベイトの代表です。特に青山フラワーマーケットの香水の調香も手掛けておられます。清水さんは、かつてリナーリ/CIROのブランド・マネージャーのナターリアさんと共に、黎明期のディプティックで活躍された実績もお持ちです。
2021年にはFIAT JapanのCMにも出演されています。

©株式会社キャライノベイト
歌舞伎町の香り(数量限定)
2025年10月1日より伊勢丹新宿店にて先行発売されているこの香りは、歌川国貞の浮世絵「東都冨士三十六景 内藤新宿」をモチーフに、現代の歌舞伎町のエッセンスをたばこやウイスキーの調香で表現し、大人の夜を演出した限定フレグランスです。
初薫:香檸檬、莱姆、黒胡椒(ベルガモット、ライム、ブラックペッパー)
雅薫:烏伊思幾、炭酸水、梔子、炭(ウイスキー、スカッシュ、ガーデニア、バーチ)
余薫:霍香、カスカスガヤ、龍涎香、麝香(パチュリ、ベチバー、アンバー、ムスク)
50mL/16,500円(税込)※限定100個(無くなり次第終了)
日本を代表するフレグランス・ブランドになるであろう「破天荒」

©株式会社キャライノベイト
私がはじめて「破天荒」の名前を聞いたのは、ナターリアさんからでした。その名を聞いた時の私の第一印象は「香水ブランドの名前らしくない」という感想でした。
そして2025年4月に麻布台ヒルズのフラグランツァで行われたポップアップで「破天荒」の調香師であり、運営会社のキャライノベイトの代表である清水さんとお話しし、「破天荒」という名に秘められた〝常識にとらわれず、まだ誰も踏み込んだことのない領域へと挑む香りのブランド〟というスタンスと、ひとつひとつの香りの世界観を丁寧にお伝えして下さる真摯な姿に感動しました。
日本の匠を結集したブランドというだけあって
- 世界で初の試みとして、香水の木キャップには、浮世絵を代表する絵師と同じ時代に育った岐阜県の由緒ある木曾檜が贅沢に使われており、そこへ加賀友禅の技が融合されている
- 破ることで香水ボトルが取り出せる包み紙は、かつて陶器を輸出する時に緩衝材として使われた浮世絵を再現しており、まさに破天荒の型破りな様を演出している
- すべての調香に、同社を象徴する伽羅の香りと、加子母ひのき葉精油の香りが調合されている
というこだわりを知るにつれ、「破天荒」というブランド名が、インバウンドの方々に対しても、響きの良いものであると感じるようになりました。
以下、2025年4月にファースト・ローンチされた5連作となります。どの香りも、日本産の精油がふんだんに使用されています。でありながら、和製香水によく感じられる〝薄っぺら、浅さ、のっぺり〟はなく、フランスの歴史のある香水ブランドが作る香水のような風格があります。
かつてトバリの伝説のフレグランスを愛した人から、ゲランを愛する人まで、多くの香水愛好家の心を掴んで離さないことでしょう。

©株式会社キャライノベイト
火薬、土手、赤い花火をイメージした調香になっています。江戸の粋を今に伝える、夏の風物詩・隅田川花火大会。安藤広重の「名所江戸百景 両国花火」に描かれた幻想的な風景から、現代の浅草の情景を映し出す香りです。
初薫|松明花、莱姆、夏草(ベルガモット、ライム、グリーンノート)
雅薫|梅、炭、楓子香(ウメ、バーチ、ガルバナム)
余薫|槐、霍香、カスカスガヤ、麝香(エンジュ、パチュリ、ベチバー、ムスク)

©株式会社キャライノベイト
瑞々しいフルーツの香りで磯の香りを表現しています。葛飾北斎の富嶽三十六景シリーズの代表作「神奈川沖浪裏」に描かれる、潮騒に舞う荒波の息吹から、寄せては返す磯の風のように、力強くも透き通る香りを纏わせています。
初薫|葡萄柚、柚子、磯(グレープフルーツ、ユズ、マリンノート)
雅薫|水、鈴蘭、紅茶(ウォータリーノート、ミュゲ、アッサムティ)
余薫|麝香、龍涎香、霍香(ムスク、アンバー、パチュリ)

©株式会社キャライノベイト
香水をつけた時にひんやりとするよう細工がなされています。江戸の妖しき物語を今に伝える、幽玄なる世界観。題材の元になっているのは山東京伝の読本「善知安方忠義伝」歌川国芳の「相馬の古内裏」に描かれる不気味で美しい情景から、闇夜の冷たさと神秘を香りで表現されています。
初薫|檸檬、迷迭香、胡椒薄荷(レモン、ローズマリー、ペパーミント)
雅薫|茉莉花、薔薇、夏草(ジャスミン、ダマスクローズ、グリーンノート)
余薫|白檀、鉛筆柏槇、革、麝香(サンダルウッド、シダーウッド、革、ムスク)

©株式会社キャライノベイト
べっこうの櫛が透けている様子を香りで表現しています。江戸の粋と艶やかさを今に映す、妖艶なる美の世界。喜多川歌麿の「櫛を持つ女」に描かれる、柔らかな色香と気品から、櫛越しに透ける美しさと、ほのかに薫る白粉の余韻を香りで表現されています。
初薫|松明花、橘子(ベルガモット、マンダリン)
雅薫|月下香、緑茶、匂菫(チュベローズ、グリーンティ、バイオレットリーフ)
余薫|麝香、白檀、華陀爾拉(ムスク、サンダルウッド、バニラ)

©株式会社キャライノベイト
可憐で華やかに咲いて散る、桜の儚さを表現しています。春爛漫、吉原仲の町に咲き誇る桜並木。安藤広重の「東都名所 吉原仲の町桜時」に描かれる幻想的な風景から、期間限定で植えられる新吉原の桜の儚さと華やぎを、香りに閉じ込めています。
初薫|檸檬、伊予柑、桜桃(レモン、イヨカン、チェリー)
雅薫|桜、木蓮、鈴蘭(チェリーブロッサム、マグノリア、ミュゲ)
余薫|苔、麝香、龍涎香(オークモス、ムスク、アンバー)
50mL/各13,200円(税込)