オイエド
原名:Oyedo
種類:オード・トワレ
ブランド:ディプティック
調香師:アキコ・カメイ
発表年:2000年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/16,940円、100ml/23,100円
公式ホームページ:ディプティック
アキコ・カメイ(亀井明子)様について
ディプティックから2000年に発売された「オイエド」は、日本の古都である江戸からインスピレーションを得た、日本文化を称える香りです。エルメスの香りを唯一調香したジボダンのアキコ・カメイ(亀井明子)様により調香されました。日本人が調香した唯一のディプティックの香りです。
アキコ・カメイ様は、栄養士になるために高知で勉強した後、日本の美容製品メーカーで最初の仕事に就きました。その一方で、フランス映画を通じてフランス文化への憧れが高まり、香水に対する情熱を深めていきました。
そして、彼女はある日、一念発起して、香水への情熱を追求するためにフランスに渡り、70年代初頭に、グラースのルール・ベルトラン・デュポン社(現ジボダン)でインターンとして働くことになり、ピエール・ブルドン、エドゥアール・フレシェ、ミシェル・アルメラック、フランソワーズ・カロンと共にパフューマリースクールで学びました。
グラースに10年滞在した後、ジャン・アミックに見いだされ、エルメスの「パルファム ドゥ エルメス」(1984)やキャロンの「ル トロワジエーム オム」(1985)を調香することになるのでした。
日本人調香師が作った唯一のディプティックの香り
柚子の香りというよりも、愛媛県辺りの海の見える果樹園に実るみかんを捥ぎ取り、ぎゅっと絞り上げていくような香りです。果肉、皮、種、枝すべてをひっくるめた、甘くて苦くて酸っぱい香りに包まれてゆきます。
そんな捥ぎ立て、絞りたてみかんに、レモンとグレープフルーツ、柚子の果汁が注ぎ込まれてゆき、シトラスの甘さと酸味が絶妙に調和してゆきます。そして、タイム(もしかしたらシソ)がシトラス・カクテルを発泡させるようにシャンパンのような煌きで包み込んでくれます。
キラキラと煌きながらも、地中海のシトラスの輝きというよりも、瀬戸内海のみかんのバタ臭さを感じさせるのが、この香りの面白さだと思います(黒澤明の映画のサムライが付けてそう)。
やがて、ラズベリーケトン(フランビノン)により生み出されたフランボワーズの香りがアクセントとなり、たしかにルカ・トゥリンが言及しているようなマスカットグレープ(もしくはグレープチューインガム)の香りに包まれてゆきます。
ときどき恥ずかしげに顔を出す酸味の効いた柚子の香りが懐かしさを感じさせるのですが、〝大江戸〟と言うよりは、日本のお風呂文化(大江戸温泉ではない)を香りにしたようなフレグランスだと思います。それにしても、調香師の亀井明子様がこの香りを作り上げた経緯をもっと知りたいと思います。
香りがどうこう以前に、日本人調香師が生み出した記念碑的な作品として、神棚に祀っている香りのひとつです。
ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「それまでに一度も嗅いだことのないアコードに出くわすことがある。この香りには嬉しくなるほど風変わりなところがあり、その香りがどう構成されているのか、どうにか半分ほど解明できるまでは、まるでルービック・キューブが解けずに頭をかきむしっているかのような香りだった。」
「含まれていたのは日本のマスカットグミキャンディのような、アントラニル酸メチルの香りだ。頭の中でこの香りを引き算すると、残りはあきらかにグリーンスモーキーのマンダリンオレンジのタッチが放り込まれた、テレペンチンライムのアコードだ。これは香水か?わからない。身につけられる代物か?一か八か、私ならトライする。ただひとつ確かなのは、素晴らしいのである。」と4つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:オイエド
原名:Oyedo
種類:オード・トワレ
ブランド:ディプティック
調香師:アキコ・カメイ
発表年:2000年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/16,940円、100ml/23,100円
公式ホームページ:ディプティック
トップノート:シチリア産グリーンマンダリン、ユズ、レモン、ライム
ミドルノート:タイム
ラストノート:ウッディノート