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【尼僧物語】オードリー・ヘプバーンの乙女の祈り

オードリー・ヘプバーン
オードリー・ヘプバーン
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【尼僧物語】

The Nun’s Story オードリー・ヘプバーンが20代最後に出演した作品。プリンセス・妖精・パリモードといった今までの女優としてのイメージから脱皮するべく、オードリーが生涯最大の挑戦=厳格な尼僧に挑んだ作品です。

映画製作がはじまったとき既に世界中で300万部売れていたキャスリン・ヒュウムによるベストセラー小説の映画化作品。ベルギー及びベルギー領コンゴで看護師をつとめる実在の尼僧マリー=ルイーズ・アベ(シスター・ルーク)の半生が描かれているこの作品は、『真昼の決闘』(1952)『地上より永遠に』(1953)で骨太な演出に定評があるフレッド・ジンネマンにより監督されました。

『ジャイアンツ』(1956)『リオ・ブラボー』(1959)のコスチューム・デザイナー、マージョリー・ベストにより忠実に再現された尼僧の衣裳は、プライベートで見せられたユベール・ド・ジバンシィが絶賛するほどの出来栄えでした。

実際にシスター・ルークから、尼僧服の着方、十字架への正しいキスの仕方まで、徹底的にレクチャーを受けたオードリーの姿は尼僧そのものでした。撮影は、1958年1月から6月にかけて行われました。

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あらすじ

ベルギーに住む名医の娘ガブリエル(オードリー・ヘプバーン)が尼僧になる決意をし、婚約者への思いを断ち切り、修道院に入ります。まずは五日間修道女の戒律を学び、その後、一年近くに渡り修道女になるための厳しい戒律生活に身を投じます。

そして、いよいよシスター・ルークの名を与えられ、尼僧になるためによりストイックに3年の歳月を戒律と懺悔と共に過ごしていくのでした。そのあと晴れて修行用の白のヴェールから正式の尼僧として認められた証である黒のヴェールの着用となるのでした。

やがて、コンゴで恵まれない人々のために医療活動に励むという目的に向かい、医学を学んだ後、ベルギーの精神病院を経て、念願のベルギー領コンゴへの派遣が決まるのでした。

世俗的な外科医フォルテュナティ(ピーター・フィンチ)の助手として見事な仕事ぶりを見せる中、無理が祟り、結核に冒され、ベルギーに戻されることになります。

1939年、ベルギーは、ナチスドイツの脅威の前にもはやなすすべのない状況に追い込まれようとしていました。そして、1940年5月ナチスの侵攻作戦により、18日間の激しい戦いの末、無条件降伏し、その時、けが人の手当てをしていた最愛の父が射殺されたことをシスター・ルークは知るのでした。そして、彼女は中立を貫かねばならぬ修道院を去る決意をするのでした。

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ファッション・シーンに与えた影響


1959年に公開された『尼僧物語』は、オードリー・ヘプバーンの主演作品の中でも空前の大ヒット作となりました。ユベール・ド・ジバンシィのファッションに身を包んでいないこの作品がファッション・シーンに与えた影響は、以下の一点のみです。

  1. 尼僧のファッションを忠実に再現している

特筆すべきは、尼僧におけるヴェールの役割です。このヴェールが、視野を狭くすることにより、シスターはただただ神の言葉だけに集中する事ができるのです。

しかし、何よりも『尼僧物語』の素晴らしい所は、オードリー・ヘプバーンによって、尼僧ルック(シスター・ルック)さえもモードになったということなのです。世界中の女性がこの作品の影響を受け、イブニングドレスよりも、尼僧服に憧れを持つようになったのでした。

オードリーは2年後に勃発したコンゴ動乱にいたく胸を痛めたと言われています。彼女が接した人々が、無残に大虐殺されたのでした。

作品データ

作品名:尼僧物語 The Nun’s Story (1959)
監督:フレッド・ジンネマン
衣装:マージョリー・ベスト
出演者:オードリー・ヘプバーン/ピーター・フィンチ/ペギー・アシュクロフト