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『レオン』Vol.2|ナタリー・ポートマンとMA-1フライトジャケット

ナタリー・ポートマン
ナタリー・ポートマン
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女性が着ることにより、男性ファッションは進化してきた。

マチルダ・ルックの代表的イメージは、だぼだぼのMA-1フライトジャケット(ボンバージャケット)とショートパンツにルーズソックスとエンジニアブーツの組み合わせです。さらにニットキャップ(スカルキャップ)とラウンドサングランスを装着すれば完璧です。

ニットキャップとラウンドサングラス。

赤のニットキャップとオーバーサイズのMA-1がスタイリッシュボブに絶妙にマッチしています。

この『少女のための戦闘』スタイルが、21世紀に入ると、幅広い年齢層の女性にとってのカジュアルなスタイルとして定番化していきました。

この作品の前に女性がフライト・ジャケットを着ている姿を見たことがありません。ですが、もしかしたら衣装デザイナーのマギャリー・ギダッチは、『ドラゴンボール』(1984年から)のブルマがフライトジャケットにショートパンツを合わせている姿を参考にしたのかもしれません。

©鳥山明

©鳥山明

『レオン』のマチルダ・ルックにより、女性は、広くミリタリー・アイテムを着るようになりました。そして、メンズ・ファッションの垣根を越えていく女性が増えました。結果的に女性が男性のファッション・テイストを取り入れることにより、男性のファッションはより洗練されていくことになるのでした。

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マドンナ、マリリン・モンロー、チャップリン…

マドンナのコスプレをするマチルダ。そして「ライク・ア・ヴァージン」を歌う。

黒のブラジャー。白のハーフパンツの上に、レースの黒Tバック。派手な花柄のカーディガン。

マリリン・モンローのコスプレをするマチルダ。化粧する少女。白のホルターネックジレにフレアスカート。

そして、チャップリン。

ナタリー・ポートマンという女優の凄さがわかる瞬間。それはこの仮装シーンにおける彼女の存在感です。彼女が最近のインタビューで、一番最初に見て欲しい自分自身の映画としてこの作品の名を挙げた意味がわかります。

表情といい、仕草といい、やはり、ナタリー・ポートマンは、最初からナタリー・ポートマンだったのだということがよく分かります。

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マチルダのファッション3

ジージャン
  • グレージュのデニムのジージャン
  • グレーのコットンシャツ
  • 太陽モチーフの黒チョーカー
  • ハイウエストのデニムミニスカート
  • 白のルーズソックス
  • 茶色のエンジニア・ブーツ

短めのジージャンとハイウエストのデニムミニのアンサンブル。

このジージャンはほんの一瞬しか登場しません。

マチルダは絶対にこのチョーカーだけは外さない。

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マチルダのファッション4

フーディクロップトップ
  • モンドリアン風のカラフルなフーディクロップトップ
  • キレイめにゆったりしたインディゴショートパンツ
  • サイドにスカルが付いたブラウンレザーベルト
  • 太陽モチーフの黒チョーカー
  • ラウンドサングラス
  • バーガンディカラーのニットキャップ(スカルキャップ)
  • ダークグレーのソックス
  • 黒のアンクルブーツ

赤は赤。ピンクはピンクというような、深みのないアイテムに身を包むのではなく、もっとスタイリッシュな色彩を極めていくこと。マチルダ・ルックの恐ろしさは、実のところ、少女に大人のスタイリングを施している点にあるのです。

最もモードなマチルダ・ルック。

このフーディがとても可愛いです。

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マチルダのファッション5

フライトジャケット
  • MA-1フライトジャケット(ボンバージャケット)。カーキーにライナーはもちろんオレンジ
  • ラウンドネックの赤茶と紫とグレイのショート丈のボーダーニットシャツ
  • 太陽モチーフの黒チョーカー
  • 花柄のハイウエストミニスカート
  • 白のルーズソックス
  • 茶色のエンジニア・ブーツ

墜落した際、救援隊の目に止まりやすいようにリバーシブルになり、裏地に明るいオレンジ色を使用したものが、1963年に製造されました。

「床よりも明るい色の服を着るな」

寝るときもフライト・ジャケットと一緒。

ぶかぶかのジャケット、ハイウエストのミニスカート、短めのルーズソックス、アンクルブーツ、絶妙のバランスです。


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マチルダとチョーカー

二人の殺し屋。45歳の男性と12歳の少女。

アメリカやフランスにおいて、元々チョーカーとは、売春婦やレズビアンの象徴的なファッション・アイテムでした。それは唯一12歳の少女にできる〝反抗〟の象徴的なシンボルでもあるのです。

チョーカーを付けているときにマチルダが大人っぽく見えるのはそのためなのです。だから、マドンナの物まねや、家事をするときのマチルダがチョーカーを外している時に彼女はただの子供に見えるのです。

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マチルダのファッション6

フライトジャケットPART2
  • MA-1フライトジャケット(ボンバージャケット)。カーキーにライナーはもちろんオレンジ
  • ラウンドネックの赤茶と紫とグレイのショート丈のボーダーニットシャツ
  • 太陽モチーフの黒チョーカー
  • ハイウエストのデニムミニスカート
  • バーガンディカラーのニットキャップ(スカルキャップ)
  • ダークグレーのソックス
  • 黒のアンクルブーツ


このシーンのマチルダの現われ方が、とてもスタイリッシュです。

後ろのレオンもカッコ良すぎます。

一歩間違うとおそ松くんのイヤミになってしまうスタイリッシュボブのハネ具合。

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マチルダのファッション7

ピンクのワンピース
  • レオンからプレゼントされたピンクのレースワンピース。スクープネック、ピンクのバラのコサージュ
  • 太陽モチーフの黒チョーカー


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ナタリー・ポートマンの誕生

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オフショット。1993年。11才のナタリー・ポートマン。

彼女は悲しみを引きずって生きています。「一人ぼっち」という言葉が似合う少女なのです。そして、うさぎのぬいぐるみを抱く少女です。

孤独な少女が、大人ぶろうと、背伸びしているわけでもありません。可愛さではなく、クールさを伴う少女なのです。そんな少女が大人の中で、少女として頑張る姿に、私達は心が揺り動かされるのです。

マチルダ・ルックとは、少女であっても、少年であっても可能なファッションです。

そして、もし、美少年がマチルダ・ルックに身を包んだならば、アンドロギュヌス的な魔性を発散することでしょう。私達は、この極めて洗練され進化したトムボーイ・スタイルに身に包むことによって、変身するのです。男の子のような女性に。大人の女と少女のギャップを生み出すことを楽しみながら・・・

マチルダと共に、ナタリー・ポートマンという21世紀を代表する大女優は誕生したのでした。そして、彼女は今ではクリスチャン・ディオールのミューズなのです。

作品データ

作品名:レオン Léon / The Professional (1994)
監督:リュック・ベッソン
衣装:マギャリー・ギダッチ
出演者:ジャン・レノ/ナタリー・ポートマン/ゲイリー・オールドマン