アンドロギュヌス

『魔界転生』 日本の美7(4ページ)

    沢田研二と千葉真一

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    「人間がこの世にある限り、私は必ず戻ってくるぞ!」

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    沢田研二様のアンドロギュヌス的魅力。

    当初この作品は、『極道の妻たち』の五社英雄さんが監督の予定でした。しかし、銃刀法違反で捕まりテレビ・映画界から追放され、松田優作様で『海燕ジョーの奇跡』を撮る話が流れた深作欣二様が監督に決定しました。そして、沢田研二様と千葉真一様の配役の前提で企画が進められました。ここに、原作にはない細川ガラシャと伊賀の霧丸のキャラクター出演のアイデアを出したのは深作監督でした。彼は、今までにない時代劇を撮影しようという意気込みで撮影にのぞんでいました。

    注目すべきは、衣装デザインを人形作家の辻村ジュサブロー(辻村寿三郎)様が手がけたことです。十兵衛の衣装は、木綿や麻を使わずに、上下ともレザーで作られ、従来の時代劇にはない野性味に溢れる“セルジオ・レオーネ”テイストを生み出すことに成功しています。

    一方、天草四郎のバテレン風ロングベストは、絽の着5枚で約250万円かけて作られており、十兵衛の野性味に対して、ジュサブロー様の人形浄瑠璃の世界を体現した幽玄さに満ちた見事なスタイルを生み出しています。女性の着物のテイストもミックスされたアンドロギュヌス・テイスト溢れるこの衣装を着こなす沢田研二様の存在感は、ただただ人間とは思えない物の怪の幽玄美を体現しています。

    美少年同士のキス

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    目をつぶってキスを待つ真田さんの姿と、ジュリーの眼差しの妖艶さ。

    呪いの闇に巣くうものよ。毒持てる蛇、禍々しき悪魔よ。今こそ現れて禍の力を貸せい。姿を見せよ。来たれ。復讐するは我にあり。我これを報いん。エロイムエッサイム、我は求め訴えたり・・・

    天草四郎時貞(沢田研二)

    沢田研二様(1948-)と真田広之(1960-)さんのキスシーンが話題になりました。このシーンの美しさは、ただのセンセーショナリズムではない真実味に溢れています。それは、元々はキスシーンまでは台本になかったが、二人のアンドロギュヌス的な迫真の美しさを深作監督が感じ取り、「キスしちゃおうか?」と言い放った一言から生まれました。それに対して、沢田研二様も「分かりました」と即答したと言われています。

    このキスシーンが、あったればこそ、天草四郎=沢田研二様のイメージは永遠のものとなりました。そして、真田広之さんはこの時から俳優として一皮剥けたのでした。ジュリーのキスによって大人の役者への道を歩みだすことになったのです。美青年が美少年を大人にした瞬間でした。

    そして、もう一人、長崎の映画館で、このシーンに心を動かした13歳の少女がいました。そして、彼女は真田広之の大ファンになりました。彼女の名を原田知世といいます。

    レザーを着たサムライの誕生

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    魔除けの梵字スタイル。サムライ・スピリッツ。

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    この作品が4度目の柳生十兵衛となる千葉真一様。

    天草=ジュリーの対極を成す柳生十兵衛=千葉真一様(1939-)。映画は1人のスターだけでは生み出せない。この作品の恐ろしいところは、どんよりとした空気に包まれている妖しき者たちを主人公にしているにも関わらず、出演者すべてから(もちろん煩悩僧侶・室田日出男さんも含めて!)迸る情念を感じるところにあります。人間が作った時代劇。「情け無や親父殿」「無念」などの短い言葉が言霊となって伝わってきます。

    台詞が生きている映画。私達が日本映画を見るときに、まず重要なことは、ファッションセンスが良い、主役が美形、であること以上に、生きた映画であることが重要なのです。この作品の登場人物は、皆、言葉が生きています。だから、ファッションも生きます。そして、笛の音色もすんなりと耳に入ってきます。

    レザーを着たサムライにも違和感を感じません。真っ白メイクの物の怪たちに対しても不思議な躍動を感じます。アニメには出来ないこと。それがこの映画にはあります。



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