ジョルジオ・アルマーニのトレンチコート
ミシェル・スタットン・ルック2 アルマーニコート
- アルマーニのグレーのトレンチコート。オーバーサイズ。十字に交差するストームフラップ、比翼
- パープルのロングワンピース(後に少しだけ登場する)
- ボッテガ・ヴェネタの茶色のクラッチ
アメリカのキャリアウーマンの間でアルマーニ人気が絶大なのは、着心地がよい上に彼女たちを知的に美しく見せてくれるという安心感。そして、アクセサリーやインナーを変えることで、個性をプラスすることができるし、上質だから長く着られる。まさに投資に値する服なのよ。
バーナディン・モリス(ニューヨーク・タイムズのファッション・エディター)
アルマーニは女に男の服を着せた。彼は天才ね。
ロジータ・ミッソーニ
仕事ができる女性ほどいくつもの顔を持ち、生活を楽しんでいる。
ジョルジオ・アルマーニ
アルマーニのトレンチコートを着て登場するローレン・ハットン。ミステリアスな女性を引き立てるアイテムとしてのトレンチコート。そして、脇に抱えるのは、ボッテガ・ヴェネタのクラッチです。
ボッテガ・ヴェネタが2016年9月のブランド創立50周年とトーマス・マイヤーのクリエイティブ・ディレクター就任15周年を記念し発表した2017年春夏コレクションでは、72歳のローレン・ハットンがそのクラッチとともにランウェイに登場しました。そして、また、そのオリジナル版と同じデザイン、素材と〝ジゴロ・レッド〟と命名されたオリジナル・カラーで復刻させたものも発表されました。その名も「ザ・ローレン1980」です。ちなみに価格は259,200円です。
「さぁ!もっと飛び跳ねるのよ!」アヴェドン
私はアヴェドンのお気に入りのモデルになりました。アヴェドンとすごすのは、子供と遊ぶようなものでした。ヴォーグには、200足もの靴をのせた大きなテーブルや、宝石をぎっちりと並べたテーブルがありまして、私は彼と一緒にテーブルのあいだをぶらついては、いろいろな靴を試したり、宝石を片っ端からつけたりしました。
ローレン・ハットン
1964年にニューヨークのクリスチャン・ディオールでローレン・ハットンは、週給50ドルでハウス・モデルとして雇用されることから、ファッション・モデルとしてのキャリアは始まりました。そして、ほとんどのモデル事務所から門前払いされるも、モデル・エージェントの最王手フォードだけが彼女を採用してくれたのでした。その条件は鼻を矯正し、歯並びを直すことだった。
一日中ショールームに座っていて、バイヤーが訪ねてきたら、言われる通りの洋服を着てみせるの。退屈で死にそうだったわ。でも、報酬が保証されている仕事だったから。
ローレン・ハットン
22歳で本格的にファッションモデルの道を歩み始めた彼女は、7ヶ月目にヴォーグで、服の試着モデルを務めることになります。そして、そこに、ダイアナ・ヴリーランド(1903-1989、1963年から71年までのヴォーグの編集長)がいたのでした。
試着モデルにうんざりして、サボっていたローレンを見て、ダイアナは「あなたには存在感があるわ!」と抜擢されたのでした。そして、翌日にリチャード・アヴェドンに引き合わされ、今では伝説となった飛び跳ねている写真が撮影されたのでした(なんと以前、ローレンはアヴェドンに撮影を断わられた経験があった)。
ジーンズをモードにした!
ミシェル・スタットン・ルック3 インディゴ・ジーンズ
- パープルのブラウス。半袖、襟なし。上品なデコルテ
- 金色の細ベルト
- インディゴのジーンズ
- オープントゥ・フラットシューズ、ヌードカラー
- ボストン型のサングラス
- ボッテガ・ヴェネタの茶色のクラッチ
スーパークールなジーンズ・ルックです。カジュアルダウンしたルーズ・シルエットが肩肘の張らないエレガンスを演出しています。そこには、生地の中の空気さえも計算されたかのようなゆったりとしたシルエット=ルーズ・シルエットが存在しています。
やがて、21世紀に入り、人々は、ファスト・ファッションの販売戦略に見事にはまり込み、ルーズ・シルエットのまやかしの法則を吹き込まれてしまいました。それは、厳密に言うと、ストリート・ファッションにおけるルーズを意味する言葉になったのです。ストリートの本質は、どこかから盗んできても、サイズ感が出鱈目であっても着こなせるファッションにあります。つまりは、ただ店頭に並んでるものを試着してサイズ感を確認しなくて良いというファスト・ファッションの概念とぴったり一致します。このヒット・アンド・ラン・スタイルこそが、21世紀におけるルーズ・シルエットともてはやされたのでした。
その最たるものが、メンズにおけるカットソー及びシャツ・アウトであり、ウィメンズにおけるガウチョ&ワイド・パンツでした。その丈感も生地感も無視したスタイルが生み出した野暮ったさは、正確にはルーズ・シルエットと呼ぶよりは、ルーザー・シルエットと呼ぶべきものでした。彼らは、生地感さえも無視したスタイルで、すっかり皺のよった(断じてドレープではない)出鱈目なサイズの衣服を身に着けていたのでした。
このローレン・ハットンの上品なブラウスとジーンズのアンバランスな組み合わせが、見事に成立しているのは、真のルーズ・シルエットがそこにあるからなのです。