イヴ・サンローラン

カトリーヌ・ドヌーヴ1 『昼顔』1(3ページ)




    そして、白を着て、幼さを満開させる

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    一転して、オール・ホワイトのコーディネイト。

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    ブニュエル曰く。テニスラケットを握る奥様は、他のものを握りたい願望の現われだと言います。そんな軽蔑すべきブニュエルが私は好き。

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    天使のようなカトリーヌ・ドヌーヴ。

    私の中での「エースをねらえ!」のお蝶夫人は、カトリーヌ・ドヌーヴです。このテニスウェアをアスリート調に変えて、髪を巻きに巻いて、池田晶子の声で吹き替えたならば、リアルお蝶夫人の完成となるでしょう。そんなオールホワイトでテニスに汗を流すセヴリーヌの前に現れた、ブラックスーツに身を固めたアンリ(ミシェル・ピコリ)。

    白い乙女の前に現れる黒いルシファー。その姿に少女のように動揺するセヴリーヌ。女性は白いファッションに身を包んでいる時に、野生的な男性の目を釘付けにすると言います。ピンクではなく白。あくまでも男性にとって白は、闘牛にとっての赤と同じ意味を成すカラーなのです。

    セヴリーヌ・ルック3 テニス・ファッション
    • オフホワイトのカシミヤのセータ
    • 白のテニスシャツ
    • 白のプリーツスカート
    • 白ソックスに白い靴
    • 白のヘアバンド




    「昼顔」とは、真昼にダークトーンで身を固める夫人のことを言う

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    この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ。

    ミリタリーコート姿のカトリーヌの気品のある美しさ。

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    怯えながらも、隠し切れない好奇心で輝く瞳。

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    エポレットが活きる、絶妙のバランスでかぶるピルボックス帽。

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    ロジェ・ヴィヴィエのパンプス。

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    イヴ・サンローランの1965年秋コレクションで共同発表されたロジェ・ヴィヴィエのピルグリム・バックル・シューズ。

    (Premium Pricing - DOUBLE RATES APPLY) Catherine Deneuve up a staircase while filming a scene from the movie 'Beautiful Day' by Luis Bunuel. (Photo by Manuel Litran/Paris Match via Getty Images)

    階段を上がる女。これぞ『昼顔コート』です。

    衣服に物語を語らせる。いやそれは映画の中だけの話ではない。生きるという行為において、その一日の〝自分の顔〟を装いにたくす事は一般的なことです。セヴリーヌは、昼間の闇に身を包む決意をしました。それは倦怠感からではなく、ただ単に恵まれた愛情生活の中では満たされないもう1人の自分を満たすためでした。

    全てを手にしていることは、何も手にしていないも同然なのです。もはや物質的に何かを得ることに何のトキメキも感じないからこそ、彼女は、オートクチュールのファッションに身を包み、肉体を売ることになるのです。これは、そういう服を着て、美魔女と呼ばれることに喜びを見出す感覚に極めて近い感覚です。全く悪意のない言葉で言うと、そういう人達は、お金で得られないものを求めて禁断の扉を開け、まだまだ物足りないと感じ、真に昼顔の生き方を選択する可能性さえも秘めているのです。その本質は、裕福な夫の下で暇を持て余している女性が、自分の空虚さに気づいてしまう危さを秘めているのです。美しさを認められたいと望んだ次にあるのは、それを汚されたいと願うことなのかもしれません。

    セヴリーヌ・ルック4 「昼顔」コート・ファッション
    • グレーミリタリーコート。エポレット付き。『昼顔コート』ベントなし。ワイドカラー。
    • 黒のウールのピルボックス帽。1961~63年にかけてホルストンのピルボックス帽をかぶるジャクリーン・ケネディ・オナシスにより大流行
    • 黒手袋
    • 黒革のハンドバッグ
    • 黒のロジェ・ヴィヴィエの靴。ピルグリム・バックル・パンプス




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