アラン・ドロン

アラン・ドロン1 『サムライ』(4ページ)



    本来ファッションスタイルにミニマルという言語は存在しない。

    ナイトクラブのクロークを演じるカトリーヌ ジュールダン。かなり印象的な今風の金髪美女。グレーのチェスターコートに白のタートルネック。赤のバッグ。

    黒のチェスターフィールドもまたよく似合う。

    メトロを上手く生かしたメルヴィル・ブルーの色調。

    パリのサムライは、その街を、強靭な肉体をコートに、まさに刀を鞘に収めるように着て、静かに歩く。そして、一瞬で抜刀し、敵をなぎ倒す。サムライの美学とは、戦略的な狡猾さではなく、あくまでも直線的な美学なのです。それはある種、カミカゼを連想させるものがあります(特にヨーロッパにおいて)。そして、その美学に調和する形で、ミニマルな衣服を組み合わせた〝静〟の美学を演出するファッションスタイルが生み出されます。

    あくまでもファッションアイテムそれぞれがミニマルであって、スタイルにミニマルという言葉は相応しくない。メルヴィルブルーとアラン・ドロンの青い目と白い肌は見事に調和が取れ、メトロで走るドロンのコートのドレープと、革靴の響きがサムライのダンディズムを昇華させます。ファッションとは、ドレープと音なのです。そのコートの揺れと、靴の音です。その二つの要素を無視したファッションを、プチプラコーデと呼びます。

    マイケル・ジャクソンが引用することになる白手袋。

    座禅を組んでいるかのような和的な対座シーン。

    サムライ・スタイル2
    • 黒のチェスターフィールドコート
    • 黒のスーツ
    • 白のボタンダウンシャツ
    • 細身の黒のネクタイ
    • 同じグレーのフェドーラ帽

    印象的なのが、敵対する金髪の殺し屋が着るバーバリーのトレンチコート姿です。彼もまたもう一人のサムライでした。



    その名はヴァレリー。ガンダムで言うとララァ・スン。

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    カティ・ロジェ(1945-2007)。デビュー作にして彼女の最高傑作。

    ブラック・ビューティー。まさに60年代のブラック・アイコンです。

    ナタリー・ドロン以上に印象的な女性でした。

    フランスの有名な毛皮メーカーのロベール・ボーリューのアニマル柄のファーコートに身を包む褐色の美女ヴァレリー。サムライの殺人行為の唯一の目撃者であり、サムライが愛してしまった唯一の女性。彼女もまた静かな所作がすごく魅力的なサムライのような女性なのです。演じるのは本作がデビュー作のカティ・ロジェ。そして、彼女こそが、80年代にアニマル・ファーに身を包むナオミ・キャンベル・イメージの原型になった人なのです。

    サムライとヴァレリーの対話は、ハードボイルドの真骨頂であり、それは誤解を厭わずに言うならば、サムライが命をかけるべき姫様を見出した瞬間でした。サムライとは、孤独であり、決して報われぬ愛に準じる人なのです。この作品の魅力は、報われぬ愛に準じる二組の男女の姿にあるのです。



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