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【ル ラボ】チュベローズ40 ニューヨーク(アルベルト・モリヤス)

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チュベローズ40 ニューヨーク

【特別監修】Le Chercheur de Parfum様

原名:Tubereuse 40 New York
種類:オード・パルファム
ブランド:ル ラボ
調香師:アルベルト・モリヤス
発表年:2006年
対象性別:ユニセックス
価格:1.5ml/1,850円、15ml/20,900円、50ml/45,100円、100ml/69,850円
公式ホームページ:ルラボ

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アルベルト・モリヤスによる第一弾シティ エクスクルーシブ

©LE LABO

ル ラボ」とは、2006年3月にニューヨークで誕生したニッチ・フレグランス・ブランドです。ロレアルジョルジオ・アルマーニのフレグランスを担当していたエディ・ロスキーファブリース・ペノーにより創立されました。日本の旗艦店は、代官山にあり、日本でも店舗を増やしている人気ブランドです。

お客様からオーダーを受けてから、その場で最終調合する(5分程で完成)というメイド・トゥー・オーダー方式が、フレッシュな状態でお客様にフレグランスを提供することが出来るということから話題を呼び、人気を博しています。

ル ラボというブランドの面白さのひとつは、世界各都市のル ラボ店舗で販売されている限定の香りにあります。そんな「シティ エクスクルーシブ コレクション」が販売されるきっかけになった第一弾の香りが、ニューヨークのバーニーズ・ニューヨーク限定で販売されている「チュベローズ40」なのです。

この香りは、画期的なチューベローズの香りです。ただし、チューベローズがメインで調香されているわけではありません。チューベローズ・アブソリュートはあくまで使用されている40種類もの香料のひとつにすぎません。そのため妖艶なチューベローズの雰囲気は全くありません。

画期的な理由は、これはチューベローズ・コロンであり、チューベローズの香水で思いつく限りにおいて、浴びるように振り掛けることが出来る香水は、これ以外にないという点です。

つまり、伝統的なコロンに入る余地などない高い濃度のチューベローズを軽やかなコロンに仕立てたところに、この香りの凄さがあるのです。アルベルト・モリヤスという調香師は、さりげなく凄いことをやってのける調香師なのです。

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21世紀のマリー・アントワネットの香り


最初のシティ エクスクルーシブを創造するため(この香りがシティ エクスクルーシブと呼ばれるようになったのは2008年から)、エディとファブリースの二人が香水界のバッハと呼ぶ、アルベルト・モリヤスに調香を依頼する流れの中でとても興味深い逸話があります。

事の始まりはこうです。それは二人がブランドを立ち上げる前の2005年1月に、パリのナイトクラブで映画『マリー・アントワネット』(2006)の撮影をしているキルスティン・ダンストと知り合い、マリー・アントワネットは女王としてはじめて専属調香師を持った女性であると言う話をしているうちに、「じゃあ、映画の中のあなたのための香りを作りましょう」という話まで進展しました。

そして、二人は、キルスティンが演じるマリー・アントワネットの香りを作れる人はアルベルト・モリヤスをおいて他にいないと考え、モリヤスの下を訪れたのでした。

「私は安い香りのオファーは多いのですが、高価な香料で生み出すような私の香りのフォーミュラは誰も興味を持ってくれないのです」と言って嗅がされたのが、この香りの原型なのでした。

マリー・アントワネットには専属の調香師がいました。彼の名をジャン・ルイ・ファージョンと申します。彼がワインエキスを使って、天然のローズ、ヴァイオレット、ジャスミン、水仙、チューベローズの花を蒸留した(当時としては恐ろしく高価な)コロンを作っていました。

最終的に、キルスティン=アントワネットに合うように、彼女が大好きなフローラルムスクの香調を目指し、花を豊かにし、10%から30%の濃度に香りを高め(そのため更に3倍高価な香りになった)、撮影中の彼女に献上したのでした。

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10年以上前に生まれていた「元祖パルファン ド コローニュ」



優雅ささえも感じさせるこの香りは、オルネラ・ヴァノーニの「L’ Appuntamento 逢いびき」の幕開けのような華やかさと哀しさと懐かしさを含んだネロリと共にはじまります。すぐにベルガモット、レモン、オレンジ・ブロッサムがブレンドされ古典的な柑橘系コロンの様相を見せます。

オレンジブロッサムは、アブソリュートが使用されており、トップノートに煌めきを与えています(そして、この煌めきは最後まで確かにこの香りの中に存在し続けています)。

やがて、コロンの奥深くからオークモスアブソリュートとアンブレットアブソリュートの気配が、フレッシュな香りから華やかなフローラルの香りへの場面転換を予感させる厳かな空気を生み出してくれます。素晴らしい香りのベースノートには、現代と過去を結ぶ、大河ドラマのような悠久のきらめきが存在します。

そして、チューベローズアブソリュートとジャスミンアブソリュートの(インドールを廃した)クリーミーなフローラルの側面が、ムスクと共に爽やかに踊るように香り立つのです。チューベローズにジャスミンとネロリが溶け込んでいるというよりは、ネロリとジャスミンにチューベローズが溶け込んでいる軽やかな香りです。

この香りの芳香成分の濃度は30%(オード・パルファムではなくパルファムの濃度)でありながらも、魔法のように爽やかで軽やかな空気にずっとずっと包まれる香りです。それはまるで眠らない街ニューヨークと、眠らない花チューベローズを連想させるのです。

つまり、夜こそ本領を発揮するコロンという側面も併せ持つ〝万能コロン〟なのです。

トム・フォードの「ネロリ ポルトフィーノ」を彷彿とさせるこの香りは、ある意味、モリヤスの伝説の「ミュグレー コロン」の進化系であり、確かにいにしえのパリの雰囲気もあります。つまりは「ネロリ マリーアントワネット」と呼んでみたくなる香りなのです。

この香りを調香したモリヤスという男の恐ろしさは、ルイ・ヴィトンにおいて、ジャック・キャヴァリエが、2019年に「パルファン ド コローニュ」で行ったことをなんと10年以上も前にさくっとやってのけている所にあるのです。

タニア・サンチェスは『世界香水ガイド』で、「チュベローズ40」を「チューベローズにあらず」と呼び、「チューベローズと銘打っておきながら、ありきたりのオレンジ・ブロッサムを瓶に詰めている。日本人が何千ドルも払って特別な血統の珍しい奇妙なプードルを買ったら、実は羊だったという都市伝説を思い出させる。日本人はもっと賢い。」

「しかし、ル ラボの客はどうもそう思われてはいないらしい(理解不能な理由で、ニューヨーク店でしか販売していない)。」と2つ星(5段階評価)の評価をつけています。

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香水データ

香水名:チュベローズ40 ニューヨーク
原名:Tubereuse 40 New York
種類:オード・パルファム
ブランド:ル ラボ
調香師:アルベルト・モリヤス
発表年:2006年
対象性別:ユニセックス
価格:1.5ml/1,850円、15ml/20,900円、50ml/45,100円、100ml/69,850円
公式ホームページ:ルラボ


トップノート:アフリカン・オレンジ・フラワー、ベルガモット、タンジェリン、プチグレン、ネロリ、レモン
ミドルノート:ジャスミン、チューベローズ、サンダルウッド、ヴァージニア・シダー、ローズ、ミモザ
ラストノート:オークモス、アンブレット

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