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『グランド・ホテル』1|ジョーン・クロフォードの魅力

その他の伝説の女優たち
その他の伝説の女優たち
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作品データ

作品名:グランド・ホテル Grand Hotel (1932)
監督:エドマンド・グールディング
衣装:エイドリアン
出演者:ジョーン・クロフォード/グレタ・ガルボ

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ハリウッドに君臨する女王グレタ・ガルボに女の闘いを挑んだ女優がいた!

グレタ・ガルボ。≪生きる女神≫。当時世界で最も美しい女性と言われた人。

世界恐慌の真っ只中の1930年代に、「普段映画を見ない人も見たくなる作品を撮ろう」という意気込みで、一本の映画に沢山のスターを集めるという、当時革命的なオールスター・キャストの作品が作られました。それが『グランド・ホテル』です。もちろんオールスターの最前列には「映画史上最高の金を生み出す機械」とまで言われていたグレタ・ガルボ(1905-1990)がいました。

グレタ・ガルボを初めて見た後、私は膝の震えを感じてしまいました。私さえもレズビアンになって彼女と愛し合いたいと考えるほどの、はっとするほどの魅力に包まれていました。

ジョーン・クロフォード

そして、もう一人の女優がいました。苦労の末、ようやく大女優の仲間入りを果たそうとしている人。その名をジョーン・クロフォード(1904-1977)と言います。ガルボよりも一才年長の彼女は、ずっとガルボを追って頑張ってきました。そして、本作の主演の1人に抜擢され、撮影前に対面することになった憧れのガルボに、「ハロー。ミス・ガルボ」と話しかけました。しかし、ガルボはただジョーンを冷たく見つめたまま無言で通り過ぎていきました。

去り行くガルボの背中にジョーンは「私に何も言うことはないの!」と怒鳴りつけました。そして、ジョーンは一切のガルボとの競演シーンを拒否することにしたのでした。同じ映画の中で、全く接点を持たず、二人の女優が火花を飛び散らしたのでした。ジョーンもガルボもお互いの芝居を随時試写室でチェックしながら演じていました。ガルボに至っては、白黒映画にも関わらず、ロマンチックなシーンには、セットを赤色で統一させてテンションを上げるほどの熱の入りようでした。

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狂騒のジョーン・クロフォード

この空気は、エロスでしょうか?それともアートでしょうか?

意志の強そうなルックス。しかし、どこか憎めない雰囲気。

意志の強そうなルックス。しかし、どこか人の良い役柄を演じたジョーン・クロフォード。

ジョーン・クロフォードは、疑いもなくフラッパーの最高の見本だ。洗練されたガウンを着て、ナイトパーティーで最も輝く存在として、氷の入ったグラスをもてあそび、気ままにダンスしたり、大げさに笑ったかと思うと、傷ついたような目で、ウルウルとした瞳で思わせぶりに見つめてくる。まさに、男性を翻弄し、生を楽しむ若さを謳歌する人。

F・スコット・フィッツジェラルド 『華麗なるギャツビー』の原作者

クリーニング店で働く父親と母親のもとで、テキサス州に生まれたジョーン・クロフォード。父親は母親の妊娠中に失踪しました。以後3回義父が変わり、小学校以降は正式な教育を受けることはできませんでした。そして、1924年頃のジョーンは、ヌードモデルや売春行為をして生計を立てていたと言われています。

そんな彼女がラインダンサーからスカウトされ初めて映画に出演したのが、1925年のことです。『ベン・ハー』(1925年)のエキストラや、終始つまらない端役ばかりの日々が3年も続き、ジョーンは一つの決心をしました。プロデューサーやハリウッドの有力者に対して積極的に自分を売り込んでいこうという決意です。

「私は善良な敗北者と呼ばれるよりも、ビッチなスター女優と呼ばれる方を選んだ」。ジョーンは、この頃、手当たり次第に有力者とベッドを共にしました。もっともハリウッドの有力者たちは、そういう女優の卵たちを、売春婦のように扱うだけです。結果的には、9割は、スターになれずに、都合の良い性欲のはけ口として、精神に異常をきたすか、社会の底辺でアルコールや薬物中毒で死を迎える人が多かったのですが、ジョーンは、そうはならなかった。彼女は逞しく男から男へと渡り歩き、ついに1928年、『踊る娘達』で、スター女優の座を手に入れました。

ジョーンはこの作品で、1920年代を代表するファッション・アイコンとなり、ハリウッドでもっとも有名なフラッパーとなったのでした。

※フラッパーとは、第一次世界大戦後の「狂騒の20年代」に欧米で流行したファッション。膝丈のミニスカート、ボブカット、ジャズ音楽を好み、濃いメイクアップに、アルコールを好み、セックス、タバコ、ドライブを謳歌する、今までの女性の道徳を軽蔑して自由奔放に生きる女性のことを言います。