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香水データ(オーデパルファム)
香水名:ダリア ノワール オーデパルファム Dahlia Noir オード・パルファム
ブランド:ジバンシィ
調香師:フランソワ・ドゥマシー
発表年:2011年(日本販売終了)
対象性別:女性
価格:30ml/9,450円、50ml/12,075円、75ml/14,175円
トップノート:マンダリン・オレンジ、ピンク・ペッパー、ミモザ、デルガモット
ミドルノート:アイリス、パチョリ、ローズ
ラストノート:サンダルウッド、トンカ・ビーン、バニラ、オークモス
価格:9,989円 |
香水広告フォト&動画
香水についての解説
このフレグランスは、そうは語られていないが、明らかにジバンシィのクリエイティブ・デザイナーのリカルド・ティッシが、ジェイムズ・エルロイが1987年に発表した小説『ブラック・ダリア』と、実際の「ブラック・ダリア事件」にインスパイアされて創造された香りです。
ブラック・ダリア事件とは、1947年1月15日にロサンゼルスのレイマート・パークで発見された、胴体がマネキンのように真っ二つに分断された異様な他殺体が発見された事件のことを指します。その死体は当時マスコミに曝され、口は悪魔が笑みを浮かべているかのように左右に裂かれており、世界中に衝撃を与えました。その被害者の名を、エリザベス・ショート(当時22歳)と言います。彼女は漆黒の髪にいつも黒ずくめのドレス姿で、〝ブラック・ダリア〟と呼ばれ、主に軍人相手に、娼婦のような日々を過ごしていました。しかし、もともとは映画スターを夢見てハリウッドに出て来た女優の卵でした。
さて話を〝ダリア・ノワール(英語ではブラック・ダリア)〟に戻しましょう。マリアカルラ・ボスコーノ(1980-)がキャンペーン・モデルをつとめたファビアン・バロンによるキャンペーン・フィルムは、リカルド・ティッシによるブラック・シフォン・ドレスを着たマリアカルラが、ブラック・ダリアが花開く様子を、どこか悪夢のような妖艶さと、梶芽衣子のさそり的なブラック・マジック・パワーを発散させ体現しています。キャンペーンフォトは、マート・アラス&マーカス・ピゴットによるものです。
このフレグランスは、2005年にジバンシィのクリエイティブ・ディレクターに就任したリカルド・ティッシにとって初フレグランスの第一弾の香りです。そのシリーズの目指す香りは、〝抗しがたい破滅的な魅力を発散する〟黒色のダリアという、ダリアには存在しないカラーの架空の花をモチーフに生み出されています。男女を虜にするミステリアスな魔性の香りというかなり挑戦的なテーマの香りです。男と抱き合っているときに、うっとりとしている男の表情とは裏腹に、女の表情は冷めきっているという〝背筋の凍る〟瞬間を体現したような香りでもあります。
華やかだが、どこか冷たさを感じるミモザの香りからはじまり、パウダリーなアイリスに経るフローラル・パウダリー・シプレの香りは、フランソワ・ドゥマシーにより調香されました。ボトル・デザインは、クラシックにあくまでもシンプルなエレガンスに満ちたデザインです。しかし、表面からはフレグランス名を確認できず、キャップの内側にその名が、密かに刻まれています。ブラックのキャップが、オード・パルファムで、ピンクのキャップが、オード・トワレです。